TRONプロジェクトは、デザインのプロジェクトでもある。ここでいうデザインは「設計」でなく、「意匠」の方のデザイン。
近年ウェブの進展により、コンピュータ関連会社でデザイン部門を内部に持つことが一般化してきている。しかし近年まで、コンピュータ開発プロジェクト開始時に、技術と同レベルでデザインを重視する姿勢を持った会社は米アップル社ぐらいで、コンピュータ業界では珍しかった。
しかしジョブスの成功により、ロゴなどのグラフィックからインタラクションの操作感、ハードウェアのプロダクトデザインまで含め――ユーザインタフェースならぬユーザエクスペリエンスを、総体として提供することがコンピュータメーカーの競争力となる時代になった。またウェブサービスの世界でも、優れたサービスアイデアでも、優れたデザインとともに提供しないとユーザにセレクトしてもらえなくなり、素早いサービスを提供するためにデザインチームを内部に持つのがあたりまえ、商品企画が決まりソフト仕様が決まってからデザイン会社に外注するような流れは過去のものとなった。
「システムの設計=デザイン」という思想で、TRONプロジェクトは当初より技術開発だけでなくデザインにこだわりを持ち、デザインチームを内部に持ちプロジェクトリーダーが直轄する形で進めてきた。本特集ではTRONプロジェクトの足跡をデザインの面から振り返る。
1 未来コンピュータのイメージ(1982)
電子協注)の「未来のオフィス」という30分のスライドショーのために、私がプロデュースしたイラストの一部。ノートPCもデジカメもない時代に、半導体固体メモリを標準メディアとしてAVを統合するネットワーク対応ラップトップコンピュータでタブレットにもなる。これを見た技術者は当時多く、その後の製品開発に影響を与えた。
注)日本電子工業振興協会。現・電子情報技術産業協会
2 最初のBTRONモデル(1985)
BTRONの最初期の実際に作動するワークモデル。手前にパームレスト兼用で広いエリアを取り、ポインティングデバイスを組み込むという、今ではノートPCの標準スタイルも、世界的にこれが最初であった。
3 エグゼクティブ用コンピュータのデザイン検討(1986)
将来のコンピュータはファッション的側面が強くなると考えた。エグゼクティブ用デスクセットと並べても遜色ないということで考えたデザイン検討モデル。キーボードは分離型でキートップは那智黒。
4-5 フレキシブルコンピュータ(1988)
薄く透明でやわらかな形状記憶シートでできた遠未来のコンピュータ。必要なのは、表示と入力を行う表面のみで、それ以外はすべて夾雑物であるというデザイン的主張をそのまま形にしたものでもある。
6 CTRON仕様OS搭載フォールトトレラントコンピュータ/OKITRON-L(1994)
CTRONは超多重処理リアルタイムOS。ATM電話交換機用などとして全国で使われた。写真はCTRON仕様の高信頼性システムで、通信処理システム、ネットワーク監視システム、プラント制御システムなどに利用された。
7 TRON仕様チップ(1988)
TRON仕様チッププロジェクトは、32ビット〜64ビットのマイクロプロセッサの仕様を開発するプロジェクトであり、ここから日本初の32ビットマイクロプロセッサが誕生し、日立SHや三菱Mシリーズ等に発展した。
8 腕時計型ユビキタス・コミュニケータ試作機(2004)
RFIDリーダー、小型カラー液晶、Wi-Fiを備えた、今で言う時計型ウェアラブル端末。通常は時刻を表示しているが、RFIDのついた物品に手首をかざしてucodeを読み取ると、関連情報を表示する。当時の技術ではRFIDリーダーに提供する電力のため大きな電池が必要だった。
9 初期のユビキタス・コミュニケータ試作機(2003)
ユビキタス・コミュニケータのコンセプトでは当初より、多様なチャンネルで、人間とだけでなくモノとも通話できる「汎用コミュニケータ」を目指していた。写真は、薬瓶と通信して薬の飲み合わせを警告する個人の服薬管理に使うデモ。
10 UC06(2005)
Wi-Fi、通話機能、カメラ機能、タッチパネルディスプレイ、背面にRFIDリーダー、無線マーカー受信機、赤外線通信、動画再生可能なグラフィックスプロセッサ等を備えたモバイル端末。当時の技術水準を反映して大き目だが、機能項目的には現在のスマートフォンとまったく同じ。量産して、初期の各種の実証実験に投入された。
11 UC09(2006)
技術進歩を受けてUC06の機能のままサイズダウンした全面ディスプレイタイプ。ユビキタス関係の実証実験は、未来の社会環境を想定するという前提から、当時主流の携帯電話を超えたもの――今で言うスマートフォンを皆が持つ時代を予想していた。当然そのまま使える既存商品もなく、そこから自主開発した。
12 東京ミッドタウン/ユビキタス・アートツアー(2007)
実証実験がそのまま実用になった例も多く、東京ミッドタウンでは、施設内各所にあるアートを巡るツアーガイドをUCで行うシステムを実用化している。場所の認識は、無線と赤外線マーカーの併用。
13 東京ミッドタウン/ユビキタス・マーカ(2007)
東京ミッドタウンの周辺の外灯に設置された、無線マーカー。0.5秒に一回ucodeを発信し、それから位置を推定する。今でこそBluetooth LE仕様が生まれ、無線マーカーにはこれを使うことが標準化する風向きだが、2007年当時は適切な方式がなく特小無線で実現した。
14 銀座/ucode NFCタグ
銀座の街灯のリニューアルに従い設置されたucodeの銘板。パッシブRFIDとしてNFCカードが埋め込まれており、市販のスマートフォンで読み取るとその位置に関連した情報が表示される。既存の携帯電話や、NFCを持たないiOS 系の端末用にはQRコードも用意されている。
15 東京ユビキタス計画・銀座(2007)
東京都との協力で、ucodeタグやマーカーを特定地域に集中的に整備し、将来のユビキタスインフラで可能になる各種機能のフルスケール実験を行うというのが東京ユビキタス計画。銀座地域では5,000個のタグやマーカーを設置し、障碍者サポートや外国人ガイド、ショッピングサポートなどの実証実験を継続的に行っている。
16 浜離宮/庭園情報サービス(2010)
浜離宮でもユビキタスインフラを利用したガイドシステムが事業として継続されている。外国人観光客に好評で常時貸出状態。日本庭園は背景にある工夫や歴史等の知識があった方が楽しめるが、看板は景観を壊すし、多言語で提供もできないのでガイドシステムが喜ばれている。
17 公物管理ucodeタグ(2012)
新宿都庁周辺など一部で、公物管理のためにucodeタグの利用が開始されている。電子タグは電波で読めるから目立たなくてもいいかと思われるが、利用するきっかけとしてタグの存在を知ることも必要。そのために四角いucodeのマークは効果的。
18 TRONキーボードと指の動く範囲(1986)
TRONキーボードの設計では、かな文字換算で160万文字という大量の日本語の入力データの分析と、20才から60才まで150人の指や腕の測定と動きの調査に基づきキーの形状と配置が決定された。
19 TRONキーボードTK-1 (1991)
TRONキーボードTK-1は市販品としてパーソナルメディアが開発・販売したもの。ピュアTRONマシンのMCUBEに接続できる他、アダプタを介してDOS/V機用のB-right/Vでも使用できた。電子ペンは無電池式のワイヤレス方式。
20 津軽塗りµTRON キーボード(2008)
基本のTRONキーボードは人間工学的には最適だが大きい。そこで、まとめるとコンパクトだが分離し自由に配置できるµ版をデザインした。置き方の工夫で各自の体に合わせられるというメリットもある。これはその津軽塗りバージョン。
21 µTeaboard 2.0(2013)
T-Kernelによる組込み開発教育の普及のために発売した学習キット。タッチパネルディスプレイや豊富なインタフェースを持ち、少数しか生産されない工場用の製造設備などの制御のためのマイコンボードとしても使える。
22 UWB dice(2007)
超広帯域無線(UWB)を利用した超省電力アクティブRFID。5分に一回のucode発信なら9年間動作する。アンテナ、回路基盤、小型のコイン電池を積んだ全体プロフィールが10mm角の立方体ケースに収まり、サイコロと似ていたのでダイスと名付けられた。
23 pT-Engine ソーラセンサーボール(2005)
温湿度やCO2濃度などのデータを無線送信するソーラ式センサーネットワークノードの試作。アクリル半球に球状太陽電池アレイを埋め込むことで、全天からの光の入射に対し同様の開口効率を得られるというデザイン。直径10cmほどのこの球体を先端に取り付けたセンサーポールを農作地に多数立てることを想定した。
24 火災警報器トレーサビリティ・業務用UC(2007)
耐衝撃、防水、防塵、手袋操作に適したボタンという工事作業者用に特化した仕様でRFIDリーダー、カメラ式バーコードリーダーを持つ黄色いUC。量産され実際に工事現場でのトレーサビリティで利用されている。
25 UHF/HF マルチプロトコルリーダライタ(2012)
パッシブRFIDは様々な物理規格があるが、一つで万能というものはない。そのため、多様な規格に対応できる、マルチプロトコルリーダライタを開発した。読取り結果はスマートフォンに飛ばす前提。素早い検品のために、さまざまな持ち方でのスキャンに対応できる、左官のコテを参考にしたデザイン。
26-27 ワイヤレストリアージタグ(2014)
大規模災害現場では被災者の素早い要救護レベルの見極めが重要。既存の紙のトリアージタグでは集計が手作業で刻々変わる現場状況を反映できない。このタグではレベル変更が無線で自動集計されネットワークに送られるので、本部でのリソース振り分けが的確に行える。
28-29 UCによる山岳救助訓練の様子(2008)
パケット通信試験衛星「きく8号」はテニスコート2面分の巨大アンテナにより、地上側は小さなアンテナで通信できる。UCから直接衛星通信ができ、それを利用した山岳救助など実験を行った。消費電力も小さく災害時に最適だったが、仕分けにあって残念にも計画は中断した。
30 防災情報ステーション(2014)
携帯電話網も超広域災害時には脆弱。しかし繋がりさえすればSNS等は通話以上に大きな助けになる。そこで、平時はWi-Fiサービス、災害時には蓄電池により充電と最低限のパケット通信を提供するステーションを開発し、公衆電話の置き換えなどでの普及を政府に提案した。
31 電脳都市(1989)
千葉にある60万坪の実際の土地を想定して、次世代都市を作ろうという計画があった。デザインモチーフは、幾何的にシンプルな三次曲面の組み合わせ。自然の中に置いた場合に違和感がないが、単純な箱形の造形に比べ設計にコンピュータの発達が必要だった。このイラストは、コンサートホール一体のオフィス・商業ビルのデザイン。
32 TRON電脳ビル (1989)
コンピュータ技術を駆使した将来のオフィスビルはどうあるべきかを研究する民間11社が参加する研究会のプロジェクト。残念なことに実験のみで実現はしなかったが、後年非常によく似たデザインのビルがロンドンとバルセロナにでき、話題になったのには驚いた。
33 電脳住宅 半屋外空間(1988)
普通の家の庭の部分をガラスの壁と屋根で覆った空間。コンピュータ制御により、その時々の外気の状態に合わせ開閉する。住宅の本質としてここにあるのは「動的な形」。動作はゆるやかなグラデーションで変化するように調整し、コンピュータは極力目立たないようにデザインした。
34 電脳住宅 半屋外空間の夜景(1988)
コンピュータ住宅だからこそ、コンピュータを前面に出したくなかった。正方形の総二階というシンプルな外観、使う素材としても天然素材を使うようにした。コーナーにあるのは、警報用のセンサーで、建物の全周をカバーしている。
35 外観夜景/PAPI(2004)
2005年の愛・地球博にあわせトヨタ中央研究所敷地内に作った実験住宅。トヨタホームの特徴のラーメン構造ユニットを素直に活かした箱型建築。シンプルであるため、全面光触媒コーティングによりメンテナンスフリー。減築も容易で、アルミとガラスでできた外壁はすべてリサイクル可能。
36 ガレージ/PAPI(2004)
災害時の電力不安は今では切実だが、停電時にPRIUSのエンジンを使って家庭に電気を供給するアイデアの最初の実験をPAPIで行った。電気供給用のスタンドは、通常は隣の買い物用小型電動カートの充電スタンドになる。
37 ホームシアター/PAPI(2004)
これもラーメン構造ユニットの特質を活かし、ユニット一個で完結したホームシアターとして工場で内装し、音響機器の調整をし、そのまま運んで現地で設置するというアイデア。ヤマハと共同して音場の作りこみを行った。
38 リビング/PAPI(2004)
PAPIは外観は機能優先でシンプルだが、インテリアは自然素材でリッチという生活優先コンセプトのデザイン。伊豆石の暖炉はその象徴。周囲は二組の二重ガラスの間にブラインドと熱抜きの空気層を収めた高機能の壁ユニット。
39 UC/PAPI(2004)
当時はまだスマートフォンがなく、家庭の万能リモコンになる端末を皆が常時持つというコンセプトのために、端末から開発したのがUC。家庭内の位置を認識しており、ホーム画面には自動的にその位置で操作可能な制御項目が並ぶ。
40 UC/u-home(2010)
台湾で未来住宅のショールームのために設計したu-home。今まで私が考えてきた未来住宅のためのアイデアの多くが実用的なコストで提供できることを示すのに重点が置かれた。
41 メインベッドルーム/u-home(2010)
u-homeは、それまでの電脳住宅シリーズと違い、集合住宅の中の一戸を想定している。そのため緑をインテリアに積極的に取り込もうと思い、各所に観葉植物を垂直面で水耕栽培する壁を設置した。
42 Library(1998)
企業本社のエントランスホールに隣接するようにデザインした円筒形の巨大本棚。多くの部分で円筒がモチーフとなっているが、本棚ごとに、LEDによるマトリックス表示装置があり、文字や記号で利用者の検索した本の場所を指示してくれる。
43 エレベータホール/東京ミッドタウン・カンファレンス(2007)
東京ミッドタウンでは、施設内のユビキタスガイドシステムも構築したが、それと別に会議室フロアのインテリアデザイン一式も行った。貸し会議室というと効率的だが無個性なインテリアが多いが、ここではエレベータのドアが開いた瞬間からの驚きを演出したかった。
44 廊下/東京ミッドタウン・カンファレンス(2007)
三井不動産のテレビCMでも利用された廊下。内部のレイアウト上、長いだけの直線廊下ができたので、稲荷神社の鳥居のようなイメージで演出。呼ぶ側も呼ばれる側も慣れない会議室コンプレックスでは、角を曲がるごとに印象を変えることで場所意識を助けるという狙いもあった。
45 1Fロビー/サトー本社ビル(2010)
1Fにアフターでの交流用のカフェ&バースペースを設けるというコンセプトを実現するため、外光と照明をコントロールして、ビジネスシーンとアフターの両方に使えるインテリアを目指した。
46 某社役員会議室(2002)
楕円のモチーフで天井照明とテーブルを合わせている。テーブル下には電源とLANソケットを納めた各席ごとの引き出しがある。これらをテーブル上に儲けるデザインが多いが、蓋が美しくないし、さらにそこからケーブルが出るともっと美しくない。水こぼし対策も問題だ。そこでテーブル下に納めた。
47 タッチパネル/役員会議室(2002)
各席のソケット用の引き出し内に配置されたタッチパネル操作部。プロジェクターやブラインド等の会議室設備をコントロールできる。テーブルトップ下に仕込まれたRFIDリーダと連動し、社員カードを認識して、制御可能項目が変わる。
48 MUD (Multi-User Dungeon) / Digital Museum (1997)
コンピュータ内に仮想的な空間をつくり、見学する人が入り自由に動き回ることができる。複数の人が同一空間に入れるので、その機能で相互に会話したり、解説員が解説もできる。この例は焼失した法隆寺金堂の中を再現したもの。
49 知の開放(東京大学創立120 周年記念 東京大学展 —学問の過去・現在・未来)(1997)
創立120周年を記念するイベントの一環として、積極的に情報発信を行うコンセプトの特設パビリオン。スタジオ機能を持ち、衛星放送や当時実験的だったインターネットによる動画配信を駆使して授業・研究から学生生活まで東京大学の今を、2ヶ月間24時間フルで発信した。
50 Digital Museum 2000(2000)
東京大学総合研究博物館でDigital Museumというコンセプトを打ち立て、その提示のために行った特別展。資料をどうやってデジタル的に保存するのかと合わせ、今までやっていなかったような展示のしかたの提案として、東京大学が持っている縄文時代の土器を宝石を飾るように展示した。
51 Digital Museum III(2002)
Digital Museum 2000が、同コンセプトの特別展の二回目だったが、博物館関係者を含め関心が高く、また展示に利用できるデジタル技術がどんどん生まれていた時代だったこともあり、展示方法の展示という異色の特別展も三回目となった。
52 Digital Museum III(2002)
現在はよく見られる、ブラウザ利用の携帯端末と、キオスク端末の連動型展示というコンセプトもここで提示したもの。コスト的な制約もあり、キオスク端末を大量設置するため、大口径の建築用ボイド管(紙管)を使って筐体とした。
53 TRONSHOW2005
TRONSHOWでは毎年、メインのモチーフを決め、それを展開してデザインを行っている。この年は会場の東京フォーラムの巨大空間をどう活かすかで、uIDにフィーチャした年だったので、黄色い立方体をデザインのキーモチーフとした。
54 TRONSHOW2008
TRONプロジェクトでは、赤い丸がT-Engine、黄色い正方形がuIDという分野わけになっている。2007年はその2つをストレートにバルーンにして東京フォーラムの吹き抜けに浮かべた。
55 TRONSHOW2009
東京ミッドタウンでいろいろの設計をしたご縁で、この年からTRONSHOWの会場を六本木ミッドタウン内にできたばかりの地下ホールに移した。
56-57 歴史学のデジタルミュージアム(2001)
東京国立博物館で行われた特別展の第三部では、東京大学史料編纂所がこれまでに蓄積した歴史情報データベースを活かすということで、RFIDなどを利用して観覧者の興味にあわせた解説が行われるといった新しいミュージアム展示をデザインした。
58 ET2006
長年、TRONプロジェクト関係でショーの展示デザインをやってきて、大きく変わったのは、2000年の前半。それまでのベニヤ板の大工工事から、標準モジュール組み立ての世界になった。コンピュータ開発の世界の変化とも呼応しているかのようだった。モジュールを使ってどう個性をだすか。
59 ESEC2008
ビジネスではないが、ドネーションにより支えられたオープンプロジェクトという性質上、広報も重要な活動。国内外の主にリアルタイム系のコンピュータ・ショーに積極的に出展し、そのブースデザインも行ってきた。T-Engineの赤い丸のロゴはどこでもよく映えて嬉しい。